安楽寺通信3 夏目漱石と安楽寺安楽寺2013.04.16
夏目漱石の小説「虞美人草(ぐびじんそう)」に
『「松虫」も「鈴虫」も幾代(いくよ)の春を苔蒸(こけむ)して鶯(うぐいす)の鳴くべき藪に、墓ばかり残っている』
という一説があります。
漱石は、明治40年3月28日から4月11日まで京都を旅行しています。漱石がいつ安楽寺を訪ねたのかは判りませんが、水川隆夫先生のご研究『京都女子大学宗教・文化研究所だより』第五号所収「漱石と浄土真宗補遣」』によれば、黒谷・若王子・永観堂・南禅寺などをまわった3月31日ではないかと述べています。
漱石は、阿弥陀仏へのひたむきな信仰に生きた両姫の運命に対し強い印象を感じて、このように小説に書き記したと考えられます。